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最高裁判所第一小法廷 昭和56年(行ツ)209号 判決

佐賀県伊万里市松島町二六二番地

上告人

木須春次

右訴訟代理人弁護士

元村和安

佐賀県伊万里市立花町四〇二三番地の一

被上告人

伊万里税務署長

重石良忠

右指定代理人

小鷹勝幸

右当事者間の福岡高等裁判所昭和五五年(行コ)第三〇号所得税更正処分等取消請求事件について、同裁判所が昭和五六年九月三〇日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よつて、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人元村和安の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができその過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 谷口正孝 裁判官 団藤重光 裁判官 藤崎萬里 裁判官 中村治朗 裁判官 和田誠一)

(昭和五六年(行ツ)第二〇九号 上告人 木須春次)

上告代理人元村和安の上告理由

第一点 原判決の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな採証法則の違背がある。

すなわち、原判決は、本件不動産中木須ワノ、木須幸雄名義の分を上告人の所有と認定しているが、右不動産買受当時同人らには充分な資力があり、同人らが買受けたことは明白である。

第二点 原判決は、所得税法三三条二項一号後段の解釈・適用を誤り、この誤りが判決に影響を及ぼすことは明白である。

すなわち、本件については、被上告人の職員自体が譲渡所得と考えていたものであり、上告人の譲渡は、「営利を目的として継続的に行われた」ものではない。

よつて、原判決は破棄さるべきものである。

以上

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